【侍ジャパン「プレミア１２」裏話座談会（１）】
初の国際大会「プレミア１２」で日本代表・侍ジャパンは初代王者を目指しながらも３位に終わった。
屈辱の逆転負けとなった準決勝・韓国戦での采配ミスを認めた小久保裕紀監督（４４）には各方面から批判が集中。
それでも日本野球機構（ＮＰＢ）は当初の予定通り、指揮官を２０１７年の第４回ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）まで続投させる方針を固めている。
果たしてこのままでいいのか。
恥辱にまみれた「プレミア１２」の裏話を暴露しながら、侍ジャパンの今後を担当記者たちが占った。

デスク：それにしても歴史的敗戦だったな。宿敵の韓国に３―０とリードしながら継投ミスで９回一挙４点を奪われ逆転負け。あれほどの負けっぷりも、そうそうないぞ。

記者Ａ：結局は投手を含め、選手個々の特徴を小久保監督がしっかりとつかめていなかった。敗因はそれに尽きると思います。

記者Ｂ：ですね。１次ラウンドと準々決勝が行われた台湾では、こんなこともありましたよ。
小久保監督は「（無死一、二塁から始まる）延長タイブレークに牧田（西武）を使いたい。
フィールディングがいいし、バント処理がうまい」と、牧田を“延長要員”として温存していました。
ただプレミア１２を視察していた西武の渡辺久信シニアディレクター（ＳＤ）に、この話をぶつけると「監督は本当にそんなことを言っていたの？」と目を丸くしていました。

デスク：何が問題だったんだ？

記者Ａ：渡辺ＳＤは牧田の入団１年目（２０１１年）の西武監督ですからね。
その上で「牧田は左ヒザに古傷があってあまり曲げられないし、ウチの投手陣でも守備がうまい方じゃない。
アンダースローはただでさえ守備の体勢に入りづらいのに…。
代表メンバーの中で比べるとうまいのかもしれないけど」と、小久保監督の人選に首をかしげていました。

記者Ｂ：松井裕（楽天）がベネズエラ戦で抑えに失敗。
どうにか逆転サヨナラで勝利した直後、小久保監督は「明日、同じ状況ならまた松井でいく」と断言しました。
信念が固いと言えば、そうかもしれませんが、継投や打順に関して何かと事前に決めている場合が多く、
刻一刻と変わる状況に応じた柔軟な起用はできなかった。韓国戦での継投ミスは起きるべくして起きた印象です。

記者Ｃ：実は代表メンバーに名を連ねた投手の中には、所属球団から起用法や球数制限など細かな条件がひそかに課せられていた選手も数多くいたんですよね。
でも、だからといって韓国戦での継投ミスの弁明にはつながりません。
大会前に小久保監督は当然、そういう各投手の条件について納得した上で代表メンバーに招聘しているわけだから…。

http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/488665/
2016年01月02日 10時00分

記者Ｂ：そういえば小久保監督が台湾で、あるパ・リーグの投手について「リリーフ起用しようと思ったものの、球団からストップがかかってしまった」とボヤいたことがありました。
しかし、わざわざ口にすることでしょうか。
この時点で、早くも周囲からは「起用法で失敗した時の予防線を張ろうとしているんじゃないのか」との声が飛び交っていました。

記者Ｃ：この監督で大丈夫か、という声は選手たちからも上がってましたよ。
特にコーチ陣との連携や意思疎通はうまくいっていたのかとささやかれていましたしね。
その代表例が、ブルペンに投手コーチが不在だった点。これは、いくら何でもマズかったと思う。

記者Ａ：これまでの代表チームはずっとベンチ、ブルペン担当の投手コーチが１人ずついましたが、今回、投手コーチは鹿取（義隆）さん１人。
だからリリーフ陣に指示を出すため、試合途中にベンチからブルペンまで何度も往復しなければならなかった。
鹿取さんの手が空いていない時はスタッフが「そろそろ肩をつくっておいてくれ」などと、伝令役を務めたそうだからね。

デスク：大事な国際大会でスタッフが伝令役なんて前代未聞だな。

記者Ｂ：とはいえ、選手同士の間は悪いムードではありませんでした。
前回のＷＢＣも経験しているナインによれば「チーム編成的に年が近い２０代の選手が多かったので、
選手同士が変な壁をつくることもなくすんなり打ち解けていけた」と、おおむね良好だったようです。

デスク：選手がいいムードだったんなら、あとは監督が選手の邪魔をするなよって話だな。

記者Ａ：小久保監督が次回ＷＢＣで今回の反省をどう生かすかですね。
ただ今回、物足りないところがたくさん見えちゃっただけに、不安のほうがかなり大きいですけど。